俳句

今日から後期授業。

まずは黒板に ゴマだれで幕を開けた と書いて、「これ、どういうことだと思う?」と質問。 生徒たちの、いかにも困った顔。 「ゴマだれの瓶の蓋を開けた?」 「野菜サラダにゴマだれをかけて食べ始めた?」 なるほど。 「実はこれ、『ユリイカ』っていう詩の…

今週のお題「おすすめの本」

「はてなダイアリー日記」の「お題」に初めて答えてみようと思う。 どの本を「おすすめ」しようかとちょっと迷ったけれど、俳句の本で、定評のある本で、今までこのブログで取り上げなかった本、と考えたら、結論はすぐに出た。 山本健吉『現代俳句』。 僕が…

まぶしい場所

超新撰21―セレクション俳人プラス (セレクション俳人 プラス)作者: 筑紫磐井,高山れおな,対馬康子出版社/メーカー: 邑書林発売日: 2011/01メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (3件) を見る『新撰21』と比べて、ぐっと読み応えがあると感…

10句競作

暑いですね。こんな陽気がこれから2か月以上も続いたとしたら、参っちゃいますね。 ところで実は、「週刊俳句」の「10句競作」に参加していました。「36 枇杷の実」が僕の作品です。 その結果が本日発表になっています。金賞、銀賞、審査員各氏のオススメに…

「今日の俳句コーナー」

国語の授業の最初に、「今日の俳句コーナー」というのを作って、生徒にその季節の俳句を一句ずつ紹介している。 生徒にも「うん、わかる」と共感してもらえそうな句の中から、今日はどれにしようかと選ぶのが楽しい。 これまでに取り上げたのは、 てのひらに…

「やわらかな心」

今日は俳句を作ってくるぞと思って句帳を携え、たとえば鎌倉あたりをぶらぶらして来ても、結局一句もできずに帰ってくる。下手すれば俳句のことなどすっかり忘れて、句帳を一度も開かずに家に戻る。その理由は明白。締め切りがないから― 藤田湘子の『俳句作…

展覧会と句会

昨日― 長谷川潔展(横浜美術館)を観に行った。 僕は長谷川潔が好きで、部屋には前回の横浜美術館の展覧会で買った絵葉書が4枚、額に入れて飾ってある。 様々な技法を駆使した的確な描写、計算された構図、控えめながら効果的に加えられた色彩…時間をかけて…

シエスタ

暖かくなったせいか、計画停電が見送られることが多くてありがたいけれど、エアコンの欲しい暑い季節になったら大変なことになるだろう。職場でそんな話をしていたら、パラグアイで生活していたことのある同僚がこんなことを言っていた。 「日本も真夏の昼間…

根岸散策

今日は国語科の教員仲間と上野界隈の文学散歩だったのですが、僕は午前中のオーケストラの練習を終えてから、根岸の子規庵にてみんなと合流。その後、三平堂を見学し、笹乃雪にておいしい豆腐料理とお酒をいただいて来ました。(幹事さん、ご苦労様でした。…

魔法のような

西澤みず季の句集『ミステリーツアー』を読む楽しみは、その表題さながら、次に何が現れるかわからないわくわく感に負うているところが大きいのではないか。 次のような句では、自分が今いる場所のほんの数歩先から、予想を裏切る新たな光景が展開する。 棚…

俳句とモーツァルト

m こんな遅くに呼び出してごめん。 f 構わないけど、何かあったの? m ちょっと会いたくなっただけ、いや、そうじゃなくて、この本が面白くて、君にも見せたいんだ。 f 『高浜虚子 俳句の力』岸本尚毅…あら、これ去年読んでいたわよね。 m いや、去年読…

言葉という櫂

正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)作者: 坪内稔典出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/12/18メディア: 新書 クリック: 10回この商品を含むブログ (15件) を見る子供のころから書くことが大好きだった子規、晩年、「病床六尺」の世界にあっても「言葉とい…

「観念」と言われないために

「観念」なんて言葉が出てくるような評論は、どうしたら生徒にわかってもらえるか、授業はいつでも困難をきわめるのだけれど、逃げるわけにはいかないので、「『観念』ってのは要するに『頭の中の考え』のことだよ。」などと説明して先に進む。「観念的」に…

紫の花は

久々に庭の手入れをした。梅の枝を切ったり、金木犀を刈りこんだり。 その足元に、見落としてしまいそうな小さな紫の花。 我が家の庭ではこの時期になると、エゴノキやヤマボウシなどの落葉樹がはらはらと葉を落とす下で、数種類の紫系の地味な花が控えめに…

頭振りつつ

句集 感謝作者:岸本 尚毅出版社/メーカー: ふらんす堂発売日: 2009/10/01メディア: 単行本認識するとは、物事に名前を与えること。ならば、見るとは、物事を言語化すること。…そんなことを考えながら読んだ。 焼藷を割つていづれも湯気が立つ 当たり前のよう…

本の題名

仕事で近くまで行ったので、横浜市立中央図書館へ寄って句集・歌集をそれぞれ2冊ずつ借り、鞄をずしんと重くして帰ってきた。石田響子『木の名前』 岸本尚毅『感謝』 『セレクション歌人32 吉川宏志集』 穂村弘『ラインマーカーズ』どの著者も僕とほぼ同…

強いブラバン? 強い俳人?

こんな言い方をする人、あなたの近くにはいませんか? 「○○高校って、吹奏楽部が強いんだよね。」 嫌だなあ、こういう言い方。「吹奏楽部って、運動部なの? 試合で勝ったり負けたりするの?」って言いたくなっちゃいます。吹奏楽コンクールで上位に入る常連…

フランス式?

図書館で借りて来た『俳句界』のバックナンバー(今年の7月号)を開いてびっくり。 榎本バソン了壱 という素敵な名前の俳人がいるではないか。 バソンと言えば、フランス式のバスーン。つまり、ドイツ式のバスーンであるファゴットとは兄弟分。この方、俳人…

プールと向日葵

今朝、職場に向かって自転車を走らせていたら、3〜4メートルもありそうな向日葵に見降ろされてびっくりしてしまった。ああ、もう向日葵の季節だなあ。 向日葵と言えば、『新撰21』の中でも一番若い越智友亮のひまわりや腕にギブスがあって邪魔を教室で生…

朝日新聞文化欄

前にも一度書いたことがあるけれど、「朝日新聞」の文化欄には、時々好い俳句が載っている。編集者の人選がよく、選ばれた方も全国紙掲載ということで気合が入るんだろうなあ。 昨日(29日)の夕刊には、中本真人という人の10句が載っていて、つくづくい…

ベストナイン

『現代詩手帖』なんて買ったの、ずいぶん久しぶり。 (本箱の中を見たら、1977年11月号「増頁特集=いま〈詩〉とはなにか」というのがあった。なんと30年以上も前のだ。なんでこんなところに、と思うところに線が引いてある。昔からやっていることは…

くらべうま

生まれて初めて、競馬を見てきた。 日本ダービーというやつで、府中の東京競馬場は人があふれていた。 つまり、一昨日の話。 競馬には特別興味はなく、ギャンブルにはむしろ無関心な方だが、息子が行くと言うので、付き合ってみよう、というか連れて行っても…

テキストがどんなに良くても…

新実作俳句入門―作句のポイント作者: 藤田湘子出版社/メーカー: 立風書房発売日: 2000/06メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る『新20週俳句入門』の次のステップがこれ。作句上の有益なアドヴァイスが満載。ここに書いてあるこ…

くぎ、ん?

「蠟梅」とは、読めても書くことはできない漢字ですね。 今日は「家づくりの会」の建築家の方々との2回目の句会がありました。そこに「蠟梅(蝋梅)」を詠んだ句が出ていたので、僕は先月、鎌倉の明月院に行った時のことを思い出しました。これはその時の写…

都市という枯原

昨日、「街」同人の小久保佳世子さんより句集『アングル』が送られてきました。「都市遠近」と題する章の末尾には次の二句が並んでいます。 東京の枯原を見る入場料 毛皮着て東京タワーより寂し 僕はこの二句を読んですぐに、一昨日DVDで観たばかりの映画『A…

対立の歴史

一貫した問題意識によって語られた歴史というものは、そのダイナミズムを露わにし、読み手に知的興奮を味わわせてくれるものです。 『やつあたり俳句入門』の著者中村裕は、高浜虚子による「結社に名を借りた家元制導入による俳句大衆化路線」を批判する立場…

創作現場を離れて

俳句鑑賞450番勝負 (文春新書)作者: 中村裕出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/07/01メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る面白い本です。 「読者は、作者の実際の創作現場や創作意図から離れた解釈をして、その句を楽しんだっ…

宿題やらなきゃ

藤田湘子の『新20週俳句入門』は、読者に宿題を出す。宿題をやらなければ先に進んではいけないことになっている。 最初の宿題は 季語(名詞)や+中七+名詞 という型(これを本書では〔型・その1〕と呼ぶ)で2句作れ、というもの。お手本は、 明月や男…

明日の楽しみは…

「鷹」主催の小川軽舟も、編集長の高柳克弘も、僕にはとても魅力的な俳人だけれど、その割には「鷹」を創刊した藤田湘子の句は僕にはあまり迫ってこない。どうしてだろう。たまたま最近古本屋で『朴下集』という選集(なんと、105円!)を見つけて読んでみた…

釘で一句

今日は午前中が久々のオケの練習。 午後は我が家の設計でお世話になったu-ochさんとその仲間の建築家の方たちの句会に参加させてもらいました。進行役を務めた僕としては、皆さんがとても楽しんでくれて、また二ヵ月後もやろうという話になったことがとても…