僕がツバメだったら

『深夜特急』の著者沢木耕太郎が、日本を旅する。16歳の少年時代の旅を確かめ直す旅… あの場所は今も変わらない姿を残しているだろうか? あれから年齢を重ねた今の自分が再びあそこに立ったとき、どんな思いが湧くだろうか? 僕も若い時に訪ねた場所で、も…

旅の窓

名作紀行文、『深夜特急』が生まれるまでの舞台裏と、その後日談を語り、旅の本質に迫る、興味深いエッセイ集。 ひとりバスに乗り、窓から外の風景を見ていると、さまざまな思いが脈絡なく浮かんでは消えていく。そのひとつの思いに深く入っていくと、やがて…

ロンドン、ロンドン

今日は、ロンドンの日。 上野の西洋美術館で開催中の「ロンドン・ナショナルギャラリー展」を観てきた。 会期終了のぎりぎりになって、やっぱり観ておきたくなって、日時指定のチケットの空き状況をネットで調べたら、昼間の枠はすべて完売、夜の時間帯にか…

人生観を変える旅

14年ぶりに、沢木耕太郎の『深夜特急』の続き(2巻~)を読み始めた。第1巻をあんなに面白がって読んだのに、 (https://mf-fagott.hatenablog.com/entry/20060517) なぜかずいぶん間隔があいてしまった。 深夜特急2―マレー半島・シンガポール―(新潮文庫…

文章家、つげ義春

つげ義春の文章が魅力的であることは以前書いた(→もっと読みたい、つげ義春の文章 )が、今回エッセイ集『苦節十年記/旅籠の思い出』(ちくま文庫、つげ義春コレクション)を読んで、そのことを再認識した。読み応えがある文章が多くある中でも、特に良か…

活字頼み

活字たんけん隊――めざせ、面白本の大海 (岩波新書)作者: 椎名誠出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/01/21メディア: 新書購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (17件) を見る 椎名誠を読むのは、ずいぶん久しぶりだ。このブログを始めてからはた…

旧東海道、宇津ノ谷峠

旧東海道、宇津ノ谷峠を歩いてきました。 一番古い峠道、通称「蔦の細道」の入り口。 ゆかりの文学作品を紹介する看板がところどころに建っている。 峠上に建てられているのは、 駿河なる宇津の山辺のうつつにも夢にも人に会はぬなりけり の歌碑。 宇津ノ谷…

旅先で旅の本を買う

「旅」は好きな漢字の一つだ。 「旅」という文字がタイトルに含まれる本は、思わず手に取ってしまう。旅に出たい作者: 池内紀出版社/メーカー: 平凡社発売日: 1992/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る この本を見つけたのは旅先だった。昨…

中島敦の横浜

港方面に出掛ける用事があったので、ついでに11月末の文学散歩の下調べをしておこうと思った。 忙しそうにしている事務所の女性に、中島敦の文学碑を見学したいのですがと声を掛けたら、ここに期日と名前を書いてください、幹事さんは事前の準備が大変ですね…

もっと読みたい、つげ義春の文章

芸術新潮 2014年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/12/25メディア: 雑誌この商品を含むブログ (7件) を見る 『芸術新潮』の1月号が、つげ義春の特集だったとは知らず、買いそこなってしまった、という話をオケの仲間のつげさんにしたら、…

100年前の旅、100年前への旅

若山牧水随筆集 (講談社文芸文庫)作者: 若山牧水出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/01/07メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 牧水の随筆を読むと、酒と旅を愛した牧水の人となりが知られるだけでなく、100年前の日本人がどんな旅をしていたか、…

鈍行列車の旅+イチゴ狩り+文学散歩

千葉県の成東へイチゴ狩りに行ったのは、今日が二度目。ここは青春18切符を使った日帰りの旅をするのにちょうどよい場所なのだ。成東の駅から徒歩圏内にイチゴ園がたくさんあって、いかにも房総らしい田舎の景風景の中で、のんびりとした一日が過ごせる。 …

「韓国体験」の前に

ソウルで学ぼう (岩波ジュニア新書)作者: 水野俊平出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/02/24メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る修学旅行などで初めて韓国に行く中・高生を対象にした本。韓国に行く前に読んでおこうと思って…

ソウルの印象

韓国で撮ってきた写真を整理しながら、旅の余韻に浸っているところ。 氷点下のソウルは寒かった。 でも、面白かった。 そして、美味しかった。 その他の写真は、こちら。 本の話題は次回。

ぐるっと食べ歩き篠原展

我が家の年中行事の一つになってしまった感のある、「ぐるっとお散歩篠原展」。真夏のような暑さの中、見て来ました。 行く先々でおいしいごちそうをいただき、展覧会見学というよりは食べ歩きツアーみたいになってしまいましたが、見るべきものはしっかり見…

南アルプス・八ヶ岳展望サイクリング

昨年同様、今年のゴールデンウィークも、自転車をかついで八ヶ岳山麓に出かけました。 小渕沢で小海線に乗り換え、野辺山まで。 標高が高い所から始めるので、ほとんど下りの楽々コース。 甲斐大泉駅近く。毎度お世話になっている山荘はもうすぐ。 食事は今…

異次元のユートピア

長谷川櫂の最新の句集『富士』を読んでみた。富士―長谷川櫂句集作者: 長谷川櫂出版社/メーカー: ふらんす堂発売日: 2009/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る「あとがき」によるとこれは二冊目の「旅の句集」だそうだが、僕はこの句集全体…

未知のミラノ、思い出の北八ツ

活字を追いながら見知らぬ土地の風景やそこで営まれる生活に思いをはせるというのも読書の一つの楽しみだけれど、活字を手がかりにかつて歩いた場所の記憶を懐かしく呼び覚ますというのもまた読書の楽しみの一つだろう。ミラノ霧の風景―須賀敦子コレクション…

鈍行列車に自転車載せて

八ヶ岳南麓を自転車で走ろうと、折り畳み自転車をかついで中央線に乗った。 鈍行列車の一人旅は、本を読む旅でもある。自転車に荷台はなく、走るとき荷物はすべて背負うことになるので、持っていく本もあまり厚くない文庫本一冊だけにしたかったが、いろいろ…

青春18切符で文学散歩

「青春18切符」を使って、古典文学に縁の深い地を巡ってきました。 大津の二駅手前の石山で私鉄に乗り換え、石山寺へ。紫式部が『源氏物語』を執筆したと言われ、芭蕉も訪れた寺です。 石山寺から幻住庵へ。『奥の細道』の旅から戻った翌年、芭蕉はここで…

書評とガイドブック

読みかけのまましばらく放置されている本が何冊かある。 池澤夏樹の『読書癖2』もその中の一冊。読み残してあった最後の方のやや固めの書評を読んでいたら、こんな一節に出会った。 書評の基本は紹介と評価だ。筆者は自分の人格を中和し、偏見を抑えて、客…

筆跡が決め手

家にある本をうっかりまた買ってしまうことがときどきある。 今回の本はこれ。明るい旅情 (新潮文庫)作者:池澤 夏樹新潮社Amazon朝日新聞の読書欄で俳優の山崎努が紹介している文章に興味をそそられたのだけれど、最後に「現在は絶版」とある。手に入りにく…

金田一春彦記念図書館

八ヶ岳の麓を歩いていたら、こんな図書館を見つけました。 八ヶ岳の麓に別荘を持っていた金田一春彦が大泉村(現在は北杜市大泉町)に寄贈した図書が収蔵され、「ことばの資料館」も併設されています。日本語(特に方言)関係の図書はかなり充実していて、A…

初夏の那須高原

連休を利用して、久々の那須。 広々とした那須野が原公園。 谷筋に残雪が残る那須岳、旭岳。 夕暮が近い那珂川。 此木三紅大(このきみくお)の絵画・彫刻を展示する「私の美術館」。なかなか見ごたえがありました。 那須の宿の主の案内で、芭蕉ゆかりの地、…

残暑お見舞い申し上げます。

夏休みを利用して、二泊三日の家族旅行に出かけてきました。 行き先は今年も信州。最初の目的地は、国営アルプスあづみの公園。 この公園の存在はBRUTUS (ブルータス) 2007年 8/15号 [雑誌]の特集「公園で、夏休み」で知ったばかりでした。ちょうど近くを通…

こってり系

先日京都に行って以来、本屋に入ってもつい京都関係の本に目が行ってしまいます。 『やっぱり京都人だけが知っている』(入江敦彦著)という本に、「ラーメン〜こってり進化論」という章があるのを見つけて、さっそく買って読んでみました。やっぱり京都人だ…

オトナのヨロコビ

次の週末は京都に行きます。(15年ぶりくらいかなあ…) 職場の連中と名所見物して、ちょいと贅沢な旅館で飲んで騒いで帰ってくるという企画ですが、僕の場合、どうせ交通費かけて行くなら一泊じゃもったいないので安いホテルにもう一泊し、安上がりなレンタ…