随筆

自分から遠くなる

随筆 八十八 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) 作者:中川 一政 講談社 Amazon 伊勢佐木町の古本屋で、中川一政の『随筆八十八』を見つけて購入。 前の持ち主の引いた線が残っている。たとえばこんな箇所。 威張ったって駄目だ。見る人が見ればみな見え透…

石蕗の花

どういう順番だったか正確には覚えていないが、今までに読んだ内田百閒を挙げると、 『阿房列車』 『百鬼園随筆』 『続百鬼園随筆』 『冥途・旅順入場式』 『凸凹道』 『有頂天』 今回の『つはぶきの花』で7冊目ということになる。 つはぶきの花 (旺文社文…

撓む本棚

ほんもの: 白洲次郎のことなど (新潮文庫) 作者:正子, 白洲 新潮社 Amazon 勤め始めて間もなくの頃(だいぶ昔だなあ…)、何が話題になっていたのか忘れたけれど、国語科の先輩教員が、「白洲正子は文学がわかっていない」というような意味のことを言ったのが…

文は人なり

須之内徹の『絵の中の散歩』はエッセイを読むことの面白さを満喫させれてくれる。 画廊の仕事の内側、画商から見た画家の素顔、一枚の絵のたどる運命…味のある文章が興味深い様々な世界を見せてくれる。日本人の洋画家の作品に対する親しみが増す。ちょっと…

署名本の話

久しぶりに内田百閒を読んだ。 どの文章からも百閒随筆の魅力がにじみ出てくる。「寄贈本」「署名本」を読むと、自分の著書を人に贈るのも簡単な話ではないことがわかる。受け取る側にもいろいろな人間がいるのだ。寄贈本の金額もばかにならないようだ。 私…

評論? 随筆?

日本近代随筆選1 出会いの時 (岩波文庫) 岩波書店 Amazon 編者(千葉俊二)による「解説」にもあるように、「随筆とはいかなる形式のもので、小説と随筆、評論と随筆はどのように違うのか」というのは難しい問題で、実際、この作品はどっちに分類したらいい…

字余りの法則

佐竹昭広著『古語雑談』を読むまで、本居宣長が発見したという「字余りの法則」というものを、僕は知らなかった。(これは国語の教師として恥ずかしいことなのかもしれないが。) 「字余りの法則」とは、字余りの句中には必ず単独の母音「あ」「い」「う」「…

山の名文家

街と山のあいだ 作者:若菜晃子 アノニマ・スタジオ Amazon 山の雑誌の編集にも携わったという著者による、山の随筆集。山を語る名文家と言えば、まず深田久弥、続いて串田孫一、辻まこと、畦地梅太郎などを思い浮かべるが、この若菜晃子もその中に加えよう。…

嘘発見器

清水町先生 (ちくま文庫) 作者:小沼 丹 発売日: 1997/06/01 メディア: 文庫 小沼丹が終生の師と慕った清水町先生、すなわち井伏鱒二の、人と作品について愛情を込めて綴った随筆集。井伏鱒二の作品理解への最良の手引きであると同時に、小沼丹の井伏譲りの軽…

旺文社文庫で読みたい内田百閒

内田百閒は、できれば旺文社文庫で読みたい。 僕の内田百閒との出会いは旺文社文庫の『有頂天』だったか、『阿房列車』だったか、とにかくその文章の魅力と旺文社文庫独特の質感とが僕の記憶の中では一体となってしまっている。今では新潮文庫などでも読める…