教育

情動の共有としてのコミュニケーション

大井玄の『「痴呆老人」は何を見ているか』は、読み応えのある、良書だ。もちろん、高校生にもおススメ。 「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書) 作者:大井 玄 発売日: 2008/01/01 メディア: 新書 今年度、授業で使う現代文の問題集に、この本の第三章「…

30年前に出会っていれば…

アクティブ・ラーニングはどのような時代の流れの中で提起されるに至ったか、今アクティブ・ラーニングを行うことの意義はどこにあるのか、アクティブ・ラーニングには具体的にどのような技法があるのか、それをどのように導入していけば良いのか… アクティ…

マークシート式問題批判

論理的に考え、書く力 (光文社新書) 作者:芳沢 光雄 発売日: 2013/11/15 メディア: 新書 教育施策については慌ただしく動いており、その点では既に消費期限切れの本であるが、まあ、それはともかく、マークシート式問題を批判した次のような部分には共鳴でき…

教えない先生

もっと若い時に読んでおくべきだったんだよな、と思いつつ… 教師 大村はま96歳の仕事 作者:大村 はま 発売日: 2003/05/29 メディア: 単行本 戦後の大きな失敗は、先生たちが教えることを遠慮するようになったことだと思います。教えるということは「詰め込み…

振り子は先に進まない?

今度は、こんな本、読んだよ。 小針誠『アクティブラーニング―学校教育の理想と現実』(講談社現代新書) アクティブラーニング 学校教育の理想と現実 (講談社現代新書) 作者:小針 誠 発売日: 2018/03/15 メディア: 新書 内容を大まかにまとめれば、前半は広…

「主語がいらない日本語」を肯定するか、否定するか

日本語は亡びない (ちくま新書) 作者:金谷 武洋 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2010/03/10 メディア: 新書 このブログの中で、僕も「主語」という言葉を何度か使ってはいる。しかし、英文法の「SVO」のような考え方を移入した現在の学校文法(橋本文…

「書く」教育の大切さ

鳥飼玖美子、苅谷夏子、苅谷剛彦『ことばの教育を問いなおす―国語・英語の現在と未来』(ちくま新書)を読んだ。 「話す」「聞く」、すなわち口頭でのコミュニケーションの力を延ばすことを重視しようとしている昨今の風潮の中にあって、「書く」ことの教育…

現代人が負わされた問い

新・建築入門―思想と歴史 (ちくま新書) 作者:隈 研吾 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1994/11 メディア: 新書 大学の入学試験の過去問をいろいろ解いてみるという授業の中で、隈研吾の『新・建築入門―思想と歴史』を出典とする問題と出会った。それは、…

記憶か思考か

橋爪大三郎の『正しい本の読み方』(講談社現代新書)を読んだ。 正しい本の読み方 (講談社現代新書) 作者:橋爪 大三郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/09/20 メディア: 新書 読んだことは、忘れてよい。本のなかみは、忘れていいことが、大部分です…

予備校の先生はどういう授業をしているのか、拝見。

これもまた、授業のために購入。 古文の勉強法をはじめからていねいに (東進ブックス 大学受験 TOSHIN COMICS) 作者: 出版社/メーカー: ナガセ 発売日: 2018/11/27 メディア: 単行本 プロの技を見せてもらって、そこから謙虚に学びたいと思ったのだが、とて…

これで『平家』を読んだ気になってはいけないが…

平家物語 マンガとあらすじでよくわかる (じっぴコンパクト新書) 作者: 出版社/メーカー: 実業之日本社 発売日: 2011/11/10 メディア: 新書 授業の準備のために購入。 長大な物語が要領よく簡潔にまとめられていて、ありがたい。『平家物語』の全体像を見渡…

緊急出版!?

こんな本が「緊急出版」されたと知って、さっそく読んでみた。 どうする? どうなる? これからの「国語」教育: 大学入学共通テストと新学習指導要領をめぐる12の提言 作者: 紅野謙介 出版社/メーカー: 幻戯書房 発売日: 2019/07/24 メディア: 単行本 この商品…

文芸誌も黙ってはいない!

文芸誌が教育の特集をしている。それはそうだろう。文科省が打ち出した大学入試改革、高校の新学習指導要領の国語に関する部分に対して、文学軽視との批判が噴出している。国語教育関係者だけでなく、ブンゲイに関わるヒトたちとしても、黙ってはいられない…

表現の連鎖の面白さ

知ってる古文の知らない魅力 (講談社現代新書) 作者: 鈴木健一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2006/05/19 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 8回 この商品を含むブログ (12件) を見る 文学作品は、過去の作品表現の集積によって成り立っている。すぐれ…

映画の限界

今日から岩波ホールで始まった、『12か月の未来図』を観てきた。 僕の知っている教育現場のリアルとはかけ離れた世界。現実の教育困難校の子供たちやその家庭はもっと複雑で難しい。映画というのは現実を単純化し、美化してしまうものらしい。興行として成り…

僕が線を消して処分する本①

本を処分しないと、置き場所がいよいよなくなってきた。 本の処分は大変だ。まず、どの本を処分し、どの本を取っておくべきか、判断が難しい。散々迷ったあげく、古本屋に出すを決断して段ボール箱に入れた本を、思い直してまた本棚に戻してしまうことも多い…

知識か、感性か、

宮下規久朗の『美術の力』を読んだ。 美術の力 表現の原点を辿る (光文社新書) 作者: 宮下規久朗 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2018/01/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 雑誌や新聞に掲載された記事を集めて編んだ本で、古代壁画か…

問いを見つける

『考えるとはどういうことか』(梶谷真司著、幻冬舎新書)を読んだ。 考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門 (幻冬舎新書) 作者: 梶谷真司 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2018/09/27 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 筆…

国語の問題の問題

紅野謙介『国語教育の危機―大学入学共通テストと新学習指導要領』(ちくま新書)を読んだ。読む前から、書名を見ただけで内容が想像できてしまう。「大学入学共通テスト」について多くの大学が不安をいだいていることは、新聞でも報じられている通りだ。 htt…

論理とハラ芸

高校生のための論理思考トレーニング (ちくま新書) 作者: 横山雅彦 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2006/06/01 メディア: 新書 購入: 12人 クリック: 129回 この商品を含むブログ (54件) を見る 西洋文明と遭遇した明治の知識人は、西洋由来の抽象概念の…

受験英語は実用英語

完全独学! 無敵の英語勉強法 (ちくまプリマー新書)作者: 横山雅彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/11/05メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見る 大学を受け直そうというわけではないが、高校生向けに書かれた『完全独学! 無敵の英語勉強法…

能動的な読みとしての翻訳

翻訳教室―はじめの一歩 (ちくまプリマー新書)作者: 鴻巣友季子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/07/01メディア: 新書 クリック: 5回この商品を含むブログ (13件) を見る 鴻巣友季子著、『翻訳教室―初めの一歩』を読んだ。 この本は、NHK総合テレビ…

アクティブラーニングとは…

オリンピックが始まった。ということは、次回東京オリンピックまであと4年。…4年しかないんだ。大丈夫なのかなあ。 そして、その2020年から大学入試が大きく変わるらしい。親としても、教師としても、4年後に大学入試がどうなっていようともう関係ないと…

『いま、君たちに一番伝えたいこと』

いま、君たちに一番伝えたいこと作者: 池上彰出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2015/04/29メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る 池上彰が取り上げる話題は、政治、経済、歴史、教育など実に幅広い。そして、どんな…

「壇上の賢人」

アクティブラーニング入門 (アクティブラーニングが授業と生徒を変える)作者: 小林昭文出版社/メーカー: 産業能率大学出版部発売日: 2015/04/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 旧来の授業観を改めて、生徒が主体的に生き生きと参加する…

『なぜ「大学…」』は誰に勧めるべき本か?

『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか』というタイトルに食いついた人は、「騙された…」と思うかもしれない。その問いには、「第2章 何のために勉強するのか―可能性を広げる教育」で答えてくれてはいるものの、他の章はこの問いとの関連性は薄い。…

話題の『学年ビリ…』は確かにおススメです。

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話作者: 坪田信貴出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス発売日: 2013/12/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (33件) を見る とにかくこれは絶対に面白…

教育と自由

灘中 奇跡の国語教室 - 橋本武の超スロー・リーディング (中公新書ラクレ)作者: 黒岩祐治出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/08/10メディア: 新書購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (6件) を見る教科書を一切使わず、一編の小説を読み進…

青な花

曲り角の日本語 (岩波新書)作者: 水谷静夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/04/21メディア: 新書 クリック: 6回この商品を含むブログ (11件) を見るなぜいま日本語は「曲がり角」なのか。 著者はその根拠として、立派な肩書をもつ人の日本語にも「表現…

シラバスのこと

下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)作者: 内田樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/07/15メディア: 文庫購入: 23人 クリック: 285回この商品を含むブログ (127件) を見る内田樹の本が見事なのは、そのロジックの一貫性をアク…