言葉という櫂

正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)

正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)

子供のころから書くことが大好きだった子規、晩年、「病床六尺」の世界にあっても「言葉という櫂」を手にして宇宙へと漕ぎ出した子規、そんな正岡子規の膨大な著作から数々の言葉を拾い出しつつその生涯を描きだした著作。
正岡子規が教えてくれるのは、何よりもまず、書くということがどんなに楽しいかということだ。子規は自らの墓碑銘でさえも楽しんで書いてしまう。そして、もう一つは、誰もが避けることができない「病」との付き合い方。

彼は病気にまで面白さを求めた。病気の境涯、つまり毎日毎日が病気の暮らしだから、病気そのものに面白さを求めるほかない。

正岡子規と病気との仲を取り持ってくれたのも、「言葉」だろう。
34歳の若さで没した子規だが、決して病気に負けたという印象を与えない。言葉を味方につけた人間は、強い。


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