ベストナイン

mf-fagott2010-06-09現代詩手帖なんて買ったの、ずいぶん久しぶり。
(本箱の中を見たら、1977年11月号「増頁特集=いま〈詩〉とはなにか」というのがあった。なんと30年以上も前のだ。なんでこんなところに、と思うところに線が引いてある。昔からやっていることは変わらないんだなあ。)
さて、amazonから届いた6月号の特集は「短詩型新時代―詩はどこに向かうのか」。
まず、アンソロジーゼロ年代の短歌100選」と「ゼロ年代の俳句100選」を読む。どちらも面白く読んだ。いろいろ感想はあるけど、今日は「俳句100選」の中から、「僕のお気に入り10選」を選んでみよう。

おおかみに蛍が一つ付いていた  金子兜太
おもしろかつたねと浮輪より出る空気  正木ゆう子
来たことも見たこともなき宇都宮  筑紫磐井
木の実落つ誰かがゐてもゐなくても  石田郷子
バナナジュースゆっくりストローを来たる  池田澄子
死ぬときは箸置くやうに草の花  小川軽舟
少女みな紺の水着を絞りけり  佐藤文香
毛布からのぞくと雨の日曜日  加藤かな文

ここまではすんなり決まった。以前から好きだった句もあり、初めて見る句もあり、いずれにしても僕の好みの句。これで8句。
ところで、僕が詩に興味を持つようになったきっかけの一つは、安西冬衛の次の詩との出会い。

てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。

そんな個人的な思い出もあるので、好みというのとは少し違うけど、9番目に選んだのは次の句。

《蝶来タレリ!》韃靼ノ兵ドヨメキヌ  辻征夫

さて、10句目がなかなか決まらない。あと1句選ぶというのは、残りの91句の中のベスト1を選ぶこと。これは難しい。何度読んでも決め手がない。それどころか、一度選んだ「バナナジュース」を外した方がいいか、とか、「少女みな」もそれほど面白くないか、などと、すんなり決まったはずの最初の8句の方も怪しくなってくる。もともと10句選ぶって、たいして意味のないことだし、こんなことで悩むよりも早くほかの記事も読みたいし…
というわけで、本日はベストナインを選んだところで終了。
もう少し頑張れ、ヤクルトスワローズ