目玉を上に

今井聖の句集『九月の明るい坂』をアマゾンで取り寄せて読んだ。

  捕虫網立てて水深測りけり

  海に出る運動会を二つ見て

  皆で呼ぶ雪の校庭にゐるひとり

  予選からゐる前列の白日傘

  あと一人来ず麦秋の駅の前

  「テステス」と運動会の始まりぬ

  沢蟹の朽葉被りて歩き出す

  鯉幟畳む目玉を上にして

  バーコード探す西瓜を回しつつ

  新しき司書に返本栗の花

 

付箋のついた句の中からさらに10句を選んで書き出してみたら、以上のようになった。僕自身の経験と重なってピンときた句、あるい僕もこういう句を作ってみたいと思うような句だ。おとなしい選句と言われるかもしれない。素材や発想の新しさ、独自さを基準に選べば、違う結果になるだろう。本の帯の裏表紙側に挙がっている12句(おそらく自選の句?)とは、「海に出る…」の1句のみが重なった。

今回の付箋はそのままにしておいて、また時間を置いて読み返してみたい。