オノマトペに始まる

『言語の本質』(今井むつみ、秋田喜美著、中公新書)が面白そうなので、読んでみた。

今井むつみと言えば、1年ほど前に読んだ『英語独習法』はとても説得力ある文章で、使える英語をものにするためにどうしたらよいのかよく理解できたのだが、その後一念発起、英語を勉強しよう! というふうにはならなかった。必要に迫られないと、何事にも本気で取り組むことができないものだ。

さて、『言語の本質』は、評判通りの面白さで、知的な興奮を味わわせてくれた。僕なりに内容をざっくりまとめると、次のようになる。

ヒトはまず、身体感覚とつながるアイコン性を持った(つまり、身体に「接地」しており)、かつ言語的特徴を多く持ったオノマトペの使用を足掛かりに、言語が抽象的な記号の体系であることを理解する。さらに、ヒトは、知識を想像力によって拡張するアブダクション推論の能力により、オノマトペから離れたより抽象的な語を作り出し、語彙を大きく成長させる。その結果、言語という巨大で、かつ洗練されたシステムが出来上がってゆく。

こうしてまとめてみると、『言語の本質』という書名よりも、「ことばはどう生まれ、進化したか」という副題のほうが、その中身全体をよく表しているように思う。