スタッキング不能

誰が主人公というわけでもなく、次々に入れ替わる登場人物たちに何か事件が起こるわけでもない。物語性というものが皆無。ただ、その登場人物たちが、世間の常識とか、「〇〇らしくあらねば…」という同調圧力とか、流行だとかに対する違和感を表明し続ける。あるいはそれらが感じさせる滑稽さを抉り出す。つまり、およそ小説らしくない小説。いや、小説と呼ばれては、作者は不本意かもしれない。作者が企図するのは、小説でもなく、他のどのジャンルにも属さないような規格外の作品、つまりスタッキング不能な作品を生み出すことなのではないか。

「今のご時世、ミクシィとかフェイスブックやってない人の方が絶対モテますよね。見たくないですよね、そういうの」

「うん、私、好きな人がブログやってるだけでやだ。えらそうに映画とか本の感想書いてると思っただけで鳥肌がたつ」