オジサンも読んでみるか

学校に『イマ、これだけは読んでおきたい200選!〜高校生のためのイチオシブックガイド』(高校生新聞社)という小冊子の見本が送られてきたのに目を通していたら、オジサンも読んでみたい!と思う本が目白押しでした。
簡単な紹介文に魅かれて「読んでみようかな〜」と思った本は、文庫・新書で読めるものだけに限ってもすぐに二桁以上は見つかりました。
例えば…
苅谷剛彦『学校って何だろう〜教育の社会学入門』(ちくま文庫)…教科書がつまらないのはどうして? そもそもなんのために勉強するの?
石田衣良『波のうえの魔術師』(文春文庫)…金融や株式のシステムを分かりやすく描いた痛快経済系小説。
佐藤雅彦『プチ哲学』(中公文庫)…「知る」「考える」ことの喜びをやさしい実例と親しみやすいマンガで詰め込んだ一冊。
鷲田清一『ちぐはぐな身体〜ファッションて何?』(ちくま文庫)…制服を着くずすことからファッションははじまる。
近藤篤『サッカーという名の神様』(生活人新書)…サッカーというスポーツのもつ魅力を、登場するさまざまな人物の人生から浮き彫りにすることで存分に描いた一冊。
アーサー・ビナード『出世ミミズ』(集英社文庫)…日本語の思考と英語の思考のあいだを、行ったりきたりしながら、まるではじめて考える子どものような視点で描かれる世界は、驚きと新鮮さに満ちている。

…などなど。
楢山節考』『蹴りたい背中』『爆笑問題の日本史原論』など既に読んだものや、前から読んでみたいと思っていてまだ読んでいない本(『新解さんの謎』など)も何冊かありましたが、新発見も少なくありませんでした。なんだか読みたい本が増える一方で、困っちゃうなあ…
ところで、高校生にお勧めの本を挙げさせると必ず出てくるのが石田衣良という名前。だから、以前から多少は関心があったのですが、僕が面白がって読む本じゃなさそうだなあ、と感じていたのです。それに、読みたい本はほかにたくさんたまっているんだし… でもやっぱり、高校の国語の教師たるもの、イマドキの高校生が面白がって読んでるモンにも目を通さなくちゃ。だったら、「経済に興味がない人にも楽しめる」「痛快経済系小説」というヤツを読んでみるか。

波のうえの魔術師 (文春文庫)

波のうえの魔術師 (文春文庫)

というわけで、『波のうえの魔術師』を、半分お仕事感覚で読み始めてみたのですが…
なかなか面白いじゃないですか。

この狂った時代、どんなに逃げたってマーケットの影からでることは、もう不可能なのだ。市場の傘は世界を覆っている。

なんていう部分は、藤原正彦への挑戦状みたい。(こっちの本の方があの『国家の品格』より先に出たんだけれど。)
彼女への愛よりもマーケットへの愛を選んでしまった「おれ」は、憎き都市銀「まつば銀行」への復讐をうまくやってのけるのだろうか。それに、これまでカザルス奏する無伴奏チェロ組曲や、リパッティの弾くパルティータと、バッハの名曲がBGMとして流れてきたけれど、この先はどんな曲が登場するのか、明日からの通勤電車も楽しみです。