散歩文学

文学散歩」という言葉はあるが、「散歩文学」というのはあるだろうか――なんてことを考えていたら、職場の図書館でたまたま目に留まって手に取った『よちよち文藝部』という本の中で、梶井基次郎が「散歩の達人」と紹介されていた。梶井の作品はどれも散歩から生まれた… そういえば、丸善にレモンを置いてきたのも、散歩の途中だったかな。久しぶりに読んでみたくなった。(『よちよち文藝部』も面白そう。)
「散歩文学」などという言葉を思いついたのは、『散歩もの』という漫画を読んだからだ。

これは久住昌之が実際に都内を無計画に歩いて書いた原作に、谷口ジローが絵を付けたもので、淡々としたストーリーのなかに、滋味が溢れていて、ちょっとした掌編小説といった趣だ。「散歩文学」というジャンルがあるなら、この本もその中の一冊に加えたい。すべての話に、「原作うらばなし」が添えられていて、これもなかなか興味深い。
よちよち文藝部

よちよち文藝部

檸檬 (新潮文庫)

檸檬 (新潮文庫)