美の教室

mf-fagott2007-08-27横浜美術館森村泰昌「美の教室、静聴せよ」展』を観て来ました。
森村泰昌による講義(音声ガイド)を聞きながら、6つの美の教室(展示室)を巡り、6時間目まで授業を受けるという趣向です。最後には展示に関する試験もあり、答案を提出すると景品がもらえます。こんなユニークで楽しい展覧会なのに意外と人が少なく、ゆっくりと楽しむことができました。
さて、森村泰昌といえばコスプレ。フェルメールの絵の中のモデルになったり、ゴッホになったりモナリザになったりして、それを自分の作品にしてしまうのです。どうしてこんな奇抜なことを始めたのか。そのわけを知りたかったら『踏みはずす美術史―私がモナリザになったわけ』(森村泰昌著、講談社現代新書を読むといいですよ。単なる大阪人のノリでウケねらいのパフォーマンスをしているのではなく(それもあるのかもしれないけど)、ちゃんとワケあって始めたことなんだってことが、よーくわかります。そして、美術の楽しみ方にはこんなのもあるんだ、もっと自由に付き合えばいいんだ、ということを教えられます。そういえば、今日の「授業」の前のオリエンテーションでも、モリムラ先生は「美術作品は自由に楽しみなさい」ということをおっしゃっていましたっけ。

食べ物が美味しいと思ったとき、そのひとはその食べ物を生んだ文化が確実に好きになっている。なにが価値があるのか、なんでそれが存在するのか、こういう問にたいして、「考える」のではなく好きになってしまう気持ちをとおして「わかってしまう」。答えは体がちゃんと知っている。逆に言えば、食べ物がまずいと感じる状態のままでは、学者がいくら「考える」ことをしても、異文化の理解はありえないでしょう。
そこで「美術の極意・その弐」は次のようになる。


「見るな、食べろ!」


美術なんてコロッケやアイスクリームとおなじです。材料や料理法の詮索のまえに、まず味わうべきです。

この「食べる」が「着る」に入れ替わって、モリムラ流コスプレ作品の誕生につながっていくというわけです。



ところで今日の試験、提出するとすぐその場で採点してくれるのですが、僕はなんと満点。と言ってもたった6問で、しかもすべて記号で答える問題でしたが、難しくて勘で答えたのもあったので、自分でも(自分の勘の良さに)驚いてしまいました。試験で満点取ったのなんて、何十年ぶりだろう…