何読んでるの?

始業のチャイムが鳴り、教室に入っていくと、熱心に文庫本を読んでいる生徒がいる。近づいて行って、「何読んでいるの?」と訊かずにはいられない。(ほとんどの場合、生徒が読んでいるのは僕が聞いたこともない著者の本なんだけど。)
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オーケストラの練習中。ハイドンのシンフォニーで出番のないクラリネットの女性が、練習場の隅っこで黒いブックカバーの文庫本を読んでいる。休憩時間になったら何の本か訊いてみよう。(と、その時は思ったのだけれど、結局訊きそびれてしまった。)
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ブログのタイトルを「僕が線を引いて読んだ所」じゃなくて、「僕が鞄に入れてる本」にして、「今、僕の鞄の中にはこんな本がはいってまーす!」という内容にしてもよかったかな。通勤のときも、旅行の時も、サイクリングのときも、降り番がないので本を読む時間がほとんどないオーケストラの練習に行くときも、僕の鞄の中には本が入っている。一冊あれば充分なのに、三冊も四冊も入っていて、鞄は無駄に重くなる。
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文学理論 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

文学理論 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

これ、鞄の中の一冊。6年ほど前に出たとき一度読んだのだけれど、このところブンガクを語るための語彙の不足をもどかしく感じること度重なり、また読み直している。大学生向けのテキストとして書かれたものだというのに、僕にはちょっと難しいところがある。自分の脳味噌の品質の悪さが悲しい。
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オケの練習が降り番で、練習室の外のロビーで同じく降り番の仲間とおしゃべりするひと時は楽しいけれど、話し相手もなくて一人で本を読んでいるというのも幸せな時間の過ごし方だ。(横浜シティ・シンフォニエッタファゴット奏者を募集中です。現在二名でフル回転していますが、もう一人加わっていただけると余裕が出来ます。どなたか僕に、降り番の幸せなひと時を恵んでください。)
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ところで、君の鞄の中にはどんな本が入っているの? それ、僕が読んでも面白いかな? …そんなこと、君にわかるはずないか。