心優しき日本サッカー

mf-fagott2006-07-08

今朝、読みかけの『波のうえの魔術師』(石田衣良)を電車の中で読むのを楽しみに家を出たのですが、駅で目についた『R25』という雑誌になぜか初めて手が伸びました。今まで、これは広告の寄せ集めだろうくらいに思っていて、「オトコのための0円雑誌創刊!」などという広告を見ても全く興味がわかなかったのですが、開けてみるとそこそこ内容のあるコラムなども多く、今まで無視してきたことがちょっと悔やまれました。(僕が手にしたのはちょうど100号でした。)
最後のページはサッカーW杯についてのエッセイで、これがなかなか面白いことを言ってます。なるほど、こういうことを考える人もいるのかと、ちょっと意表をつかれた感じがしたのです。

 専守防衛で戦後の60年以上をすごしてきた日本である。相手の息の根をとめるような獰猛な攻撃などできるわけはない。サッカーは狩猟民族のスポーツで、日本人の和の精神とは根本的にそぐわないところがある。このことについて、ぼくは積極的に評価していいことなのではないかと、ひそかに考えている。…
 組織を守るために走りまわり、本来の業務とは違う場所で汗かき仕事をして、いざというときには自分が目立つのが嫌さに、横パスをまわしあう。日本のフォワードは、もちろんその他大勢の日本人と同じで、決定的に日本人だったのである。
 それをネガティブにとらえる人もいるだろう。けれど、ぼくは心やさしき日本人や代表選手がけっこう好きである。

僕は今回のW杯の日本の闘いぶりに関しては必ずしもこの筆者と同じ意見ではなく、もっと積極的にシュートを打ち込んで欲しかったと思うし、4年後により逞しくなった日本のイレブンを見てみたいとも思います。
しかし、国民の期待ほど活躍できなかったスター選手の像が燃やされているような国も一方であることを思うと、このような心優しき言説をとても好ましいものと感じたのです。より熱狂的なサポーターの出現が、日本のサッカーを強くするかもしれません。でもそれが日本の好ましい将来像だと言えるでしょうか?
僕は読み終わってから、筆者の名前を初めて探したのですが、ページの隅に小さく「いしだ・いら」とあるのが見つかりました。
来週の木曜日、僕は『R25』の101号を手に取って、最後のページから読むことになりそうです。