青木さんと高橋さんの感想文

今日はこのブログに書きたいネタがいろいろあります。
・今日の朝日新聞の別刷り特集(Be Extra Books)を眺めていたら、またまた読みたい本がどっと増えてしまったこと。
・昨日の「全国学力調査」の国語の問題を読んで感じたこと。
・本日発売の『俳句界』5月号の投句欄に自分の名前を発見できなかったこと。(老眼のせいではありません)
・学生時代のオケのファゴット仲間の多くがいまだにファゴットを吹き続けているのはなぜかということ。
・ベランダで育てている一寸ソラマメのこと…


書きたいことはまだまだあるんですけど、
今日は「全国学力調査」について。


丹念に読んでいる時間はないので、今日は「小学・国語B」の問題にざっと目を通してみました。「知識」や「読解力」だけでなく、「表現力」をみるためにいろいろ工夫した問題が多いなあというのが第一印象。先生は採点がさぞかし大変だろうけれど、これからはこういう問題を自分でも考えていかなければならないんだろうなあと思いました。
でも、ちょっと気になった問題もあります。3の読書感想文に関する問題。
二人(青木さんと高橋さん)の模範的な感想文を示し、「先生は、この二人の感想文はどちらも良い書き方だとみんなにしょうかいしました。二人に共通する良い書き方とは、どのようなことですか。二つ書きましょう。」という設問です。(赤字部分は傍線)
二人の感想文はここでは省略しますが(できれば今日の朝刊を御覧下さい)、解答例は次のように書かれています。


(例)自分の体験をもとにした感想や意見、決意が明確であること。
   主人公の言葉を使ったり、物語のあらすじをまとめたりしていること。


気になるのは、解答例の前者の方。これは感想文中の次のような部分を指しているものと思われます。


(青木さん)「わたしは、この本と出会ってから、いろいろな人と広くかかわることができるようになりました。少しのけんかは気にせずに、できるだけ多くの友達をつくろうと思います。」
(高橋さん)「この本を読んで、人と人とがつながることのむずかしさを改めて考えました。…わたしも、あゆみと同じような体験をしたことがあるのですが、うまくいきませんでした。…これからも、人と人とのつながりについて、考えていきたいと思います。」


子供に読書感想文を書かせることに懐疑的な方なら、僕が何を言いたいのか、もうおわかりだと思います。
問題点は次の二点。


・子供の読書体験を、子供自身の狭い経験と結び付けさせようとする強引さ。
・前向きな(優等生的な)決意や行動をすぐに引き出させようとする性急さ。


もちろん、小学生の読書体験が単なる娯楽や暇つぶしに終わるよりは、彼らの人生に資する面があった方がいいに決まっています。しかし、読書の効果はすぐに現れるものとも限りません。何年も経ってからジワッと効いてくる読書体験もあるでしょう。読後にすぐ「意見」や「決意」を求めることは、子供を読書嫌いにさせてしまう危険性があると思うのです。
青木さんの感想文も、高橋さんの感想文も、確かに立派な文章です。
二人に共通する良い「書き方」は、と訊かれたら、僕だったら次の二点を答えます。


  主人公の言葉を効果的に引用し、自分が物語をどう読んだかを簡潔に伝えていること。
  段落の分け方や言葉の使い方が適切で、分かりやすい文章としてまとまっていること。