『自分のためのエコロジー』という本を読みました(甲斐徹郎著、ちくまプリマー新書)。
この本の存在は本屋の店頭で初めて知ったのですが、「もうエアコンはいらない」という帯に魅かれて買ったようなものです。
- 作者: 甲斐徹郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 新書
- クリック: 15回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
『自分のためのエコロジー』の著者はこう言います。
現代の多くの人たちは、はなから、外の環境と「つながる」ことをあきらめているように思います。都市部では豊かな環境は期待できないから、室内を快適にするためには、室内を閉じて、人工的な技術を活用するしかない思い込んでいるのだと。
でも実は、そうした「つながり」を絶った住まいが増えることで、自分たちの街の環境は悪くなっているのです。環境が悪いから、ますます「つながり」を断って閉じこもる傾向が強くなる。そして、自らの手でヒートアイランド化を促進するといったジレンマにはまり込んでしまっているのだと思います。
確かに昨今の夏の暑さは「夏なんだから当然だ」というレベルでなく、自分たちが環境を悪化させたことに対するしっぺ返しだと感じざるを得ません。世の中には「最近はどこに行ってもクーラーが効いていて、いい時代になったものだ」と感じる人もいるかも知れません。でも僕は真夏の日差しに焼け付く鋪道を歩きながら、地球が壊れつつあることを確信し、暗澹たる気分になることがしばしばです。
しかし、著者のポジティブな思考は、暑い夏を乗り越える気力を与えてくれます。
著者の考え方を単純化すると、以下のようになると思います。
①まず、自分の身体感覚にとって「気持ちいい」住環境(=エゴ)を追求する。(これは自然とつながることであるはず)
②次に、自分と同じように考えている人とのつながり(=エゴ合わせ)を追求する。(こういう人は必ずどこかにいるはず)
③このつながりが、便利さと豊かさを同時に獲得できる「自立型共生」という新しいパラダイム(世の中の価値構造)を生み出し、環境がよくなり(=エコ)、結局「自分はますます得をする」。
これは机上の空論ではなく、「経堂の杜」と呼ばれる集合住宅を作った著者自身の実践例も挙げられています。植物の持つ冷却効果を生かした住まいの例です。
こういう本を多くの人が読み、庭に一本の樹を植えたり、窓に簾を垂らすといった小さな行動から始めて、それが大きなうねりとなっていくといいと思います。