受験英語は実用英語

 大学を受け直そうというわけではないが、高校生向けに書かれた『完全独学! 無敵の英語勉強法』という本を読んだ。
 大学受験の頃の英語力が、その後どんどん落ちていくのはもったいないと思いつつも、英語を本気で勉強する必要に迫られることなく、40年以上も経ってしまった。逆に少しずつでも勉強していれば、今頃は相当な英語力が身についていたかもしれないのに。
 英語を使えなくて困ったという経験はないのに、英語が気になっているのには、理由がある。一つは自分が英語が話せないために、消極的になってしまっている場面があるのではないか、英語を聞き取ったり話したりする力がつけば、もっと世界が広がるのではないかという思いがあること。もう一つは、純粋に語学は面白いということだ。大学受験の英語をいやいや勉強したという記憶はない。
 だからこんな本に惹きつけられる。何も高校生向けの本を選ばなくても、オトナのために書かれた英語の本はいくらでもあるのだろうけれど、「受験英語こそ、日本人にとっての正しい英語修得への唯一最短の道」だという主旨で書かれたこの本は、受験生だけに読ませておくのはもったいないのだ。
 この先一番役に立つだろうと思ったのは、英語の文章が「森のロジック=三角ロジック」と呼ぶべき論理構造で支えられているということ、文章を構成するひとつひとつの英文には、「木のロジック(そのカギが5文型)」が働いているということだ。これについては、同じ著者による『高校生のための論理思考トレーニン』(ちくま新書)に詳しいそうなので、ぜひ読んでみたい。
 もし、高校生だった僕がこの本を読んでいたら、もっと受験勉強の能率が上がったかもしれないし、大学受験が終わっても英語の勉強を地道に続けていたかもしれない。「ちくまプリマー新書」のある今の高校生がうらやましい。