オヤジもこれを読め!

先日、朝日新聞の夕刊に「本屋のオヤジのおせっかい 中学生はこれを読め!」というホームページのことが取り上げられていましたが、面白そうだったので今ちょっとのぞいてみました。
ありました、辻仁成『ミラクル』 ! ブックリスト「これ読め500選リスト」の中の304番目にしっかりリストアップされていました。よしよし、納得です。僕が「若者に読ませたい本」のリストを作るとしたら、ベスト5の中にでも入れたいくらいです。これは「大人の童話」として書かれたということですが、若い人に文学の魅力を知ってもらうのに格好の本だと思うのです。

ミラクル (新潮文庫)

ミラクル (新潮文庫)

前にも書いたとおり、今この作品を授業でやっているので何度も繰り返し読んでいるのですが、特に最後の場面は何度読んでも感動してしまいます。今日も次回の授業の準備のために職員室で読んでいたら、涙が止まらなくなってしまって困りました。

「パパによろしくって、言ってたよ。また雪が降るころに帰ってくるからって。僕にパパの面倒を見るようにって。あんまりお酒は飲ませないようにって。ママはパパの身体のことを何よりも気にしていたよ。」

主人公の少年アルのこのせりふのところに来ると、もうダメなのです。健気にも父親の気持ちを気遣って嘘をつく少年…(ここだけ引用しても、何だかわからないでしょうけど)。 ところが実はここの場面をそんな風に解釈するようになったのは、2度目か3度目に読んだときからで、最初のうちは少し違う読み方をしていました。この先、生徒の意見などを聞いているうちにまた新たな読み方の発見があるかもしれません。つまり「童話」とは言うものの、なかなか奥が深い作品だということです。
ですから、中学生でなくても誰でも「これを読め!」と薦めたくなってしまうわけなんですね。

ところで「500選」をさらに見てみると、
ロバート・R・マキャモン『少年時代 上下』
中村紘子ピアニストという蛮族がいる
高島俊男『漢字と日本人』
椎名誠『活字のサーカス』
などなど、僕が面白く読んだ本がほかにもたくさん見つかります。だから最後に一言…
「オヤジもこれを読め!」