筆跡が決め手

家にある本をうっかりまた買ってしまうことがときどきある。
今回の本はこれ。

明るい旅情 (新潮文庫)

明るい旅情 (新潮文庫)

朝日新聞の読書欄で俳優の山崎努が紹介している文章に興味をそそられたのだけれど、最後に「現在は絶版」とある。手に入りにくいとなるとかえって欲しくなってしまうもの。さっそく古本屋で探したらあっけなく見つかった。買って帰ったはいいけれど、まだ読みかけの本、次に読まれるべく順番待ちをしている本たちがたくさんいて、この本もしばらく机の上で積ん読(つんどく)状態に甘んじてもらうことに。
ところが先日ふと文庫本の本棚の見ると、『マシアス・ギリの失脚』とか『母なる自然のおっぱい』とかとちゃっかり並んでいるじゃないですか、『明るい旅情』。
なんだ、読んでいたのかと思いつつ、中の数ページに目を通してみたのだけれど、読んだという記憶がどうしても蘇らない。平成13年発行とあるから、読んでからまだ10年も経っていないのに忘れちゃうもんかなあ… もしかしたら、買ったまま全然読んでなかったのかも… 
それでもやっぱり読んだに違いないと判断する決め手になったのが、間違いなく僕の筆跡(?)になる傍線。それは「記憶の都市・イスタンブール」と題する文章の中の、

一つの都市を知るのは一冊の大きな本を読み解くのに似ている。

という一文に引かれていた。薄くてよれよれした鉛筆の線は、電車の中で立ったまま引いたに違いない。(だいたい文庫本を机に向って読むなんてことはほとんどないし。)
ところで、古本屋で買った方の『明るい旅情』がどうなったかというと、僕のファゴット仲間で、僕以上の読書家で、僕と同じように朝日新聞を読んでこの本が欲しくなったというまじっくばすーん氏に謹呈しました。そのうち彼のブログに感想が載るんじゃないかな。