うらら、おぼろ

筆者は、俳句結社には所属せず、つまり名の通った俳人を師とするわけでもなく、新聞の俳句欄や総合誌に熱心に投句を続ける人でもない。本書の第1章には「俳句は一人でできる」とある。では、筆者は『山月記』の李徴のように、人との交わりを絶ってひたすら句作にふけっている人なのかというと、そうではない。多分野にまたがるネットワークでつながった仲間とともに、ユニークな俳句の楽しみ方を実践している、その実践レポート、というのがこの本の一面。その他、筆者独自の俳句観とか、俳句界の裏側的な話とかが語られる。もう入門しちゃって、俳句界のことをある程度知っている人の方が面白く読めるかも。

あ、ところで僕も「春うらら」という言葉は俳句に使いたくない(なぜか、「おぼろ」も)。それから五七五の間に空白を入れないでほしい、っていうのも全くその通りですね。