最後の一行に鳥肌が立つ

『日本文学100年の名作 第7巻』新潮文庫)を読んだ。
目利きによる厳選だけに、収録作品はどれも質が高くて、満足度も高い。初めて読む作家も数人いるが(神吉拓郎李恢成、色川武大)、おそらくどれもその作家の個性と魅力を存分に発揮した作品と言えるのだろう。ベスト・ワンを選ぶとしたら、藤沢周平。これは最後の一行で、ぞくっと肌が泡立った。
それにしても間の抜けた話なのだが、10巻、9巻と読んだのだから、次は8巻を読む順番のはずだったのに、なぜか7巻を読んでいることに途中で気付いた。

 

【収録作品】

 筒井康隆「五郎八航空」/柴田錬三郎長崎奉行始末」/円地文子「花の下もと」/安部公房「公然の秘密」/三浦哲郎「おおるり」/富岡多惠子「動物の葬禮」/藤沢周平「小さな橋で」/田中小実昌「ポロポロ」/神吉拓郎「二ノ橋 柳亭」/井上ひさし「唐来参和」/李恢成「哭」/色川武大「善人ハム」/阿刀田高「干魚と漏電」/遠藤周作「夫婦の一日」/黒井千次「石の話」/向田邦子「鮒」/竹西寛子「蘭」