久しぶりに南木佳士を読んでみた。

冬物語 (文春文庫)

冬物語 (文春文庫)

 「老」「病」「死」をより身近なものとして意識せざるを得ない状況になって、南木佳士の作品は以前に増して、切実に身に迫ってくるようになった。
 「ウサギ」は、教科書に載っている短編で、10年ほど前に読んでいるのだが、我が家の状況が「ウサギ」に描かれた家庭とやや似通ってきたせいで、10年前と比べても、より登場人物たちに感情移入しながら読むことになった。と同時に、南木佳士の作品は、人間を実に巧みに描いているなあと、改めて思うのだった。