読む絵

映画ブリューゲルの動く絵』を観てきた。
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ブリューゲルの絵が次々に動き出して、目を喜ばせてくれる映画、などと勝手に想像していたのは、全く僕の見当違いな思い込みで、実際はシリアスなテーマを扱っていて気軽に楽しめるような内容ではなかった。画像が美しく魅力的なのは確かだが、目を背けたくなるシーンも度々出てくる。聖書や西洋史に関する知識が乏しい僕のような人間にとって、わかりやすい映画ではない。
映画を観た後で、パンフレットを買って読んだり、ネット上のいろいろな書き込みを読んで、なるほどそうだったかとわかってきた。観る前に下準備をしておけば(せめて公式サイトだけでもちゃんと見ておけば)、もっと楽しめただろうにと悔やまれる。
今回の収穫は、ブリューゲルの「ゴルゴタへの丘への行進」のように多くの情報が詰め込まれた大作は、「見る」というより「読む」という態度で向き合わなければならないのだということを、改めて教えられたことだ。僕は今までブリューゲルを好きな画家だと思っていたが、実はほんの表面的な印象だけでそう判断していたかもしれない。