子供を描いた大人の文学

蕾 (百年文庫)

蕾 (百年文庫)

龍胆寺雄という未知の作家の『蟹』
昭和初期という時代への郷愁か、誰もが通った子供時代への郷愁か、この作品が読者を惹きつけるのは、そのどちらのせいでもあるだろう。
そして、細密な描写が生み出すリアリティ。
子供を描いた大人のための作品だ。


久々に読む小川国男
『心臓』
には、ナイーブさと残酷さの同居する若者のしなやかな感性が閉じ込められている