名古屋かな?

日本語教室 (新潮新書)

日本語教室 (新潮新書)

井上ひさしのユーモアを湛えた語り口に引き込まれる。独善的と言われそうな発言もあるが、それも一興。講演会場の和やかな雰囲気も伝わってきて、上智大学があるのは名古屋かな、と思ってしまう。「やさしい。ふかい。おもしろい。伝説の名講義を完全再現!」という帯の文句に嘘はないと思う。
そして、こういう本を読んでいると、授業のアイデアがいろいろ浮かんでくるから嬉しい。

いま、私たちは漢語もやまとことばも普通に使っていて、きちんと区別できないのではないかと思います。そこで、どなたか、一から十まで数を数えて下さいませんか。
(中略)
イチ、ニ、サン、シー、ゴー、ロク、シチ、ハチ、キュウ、ジュウ。逆のときには、ジュウ、キュウ、ハチ、「ナナ」、と言ったでしょう。これ、やまとことばなんですね。上っていくときは、「シチ」と言ったはずなのに、下りになると「ナナ」になって、ロク、ゴー、「ヨン」とおっしゃったでしょう。上るときは「シー」だったのに、下るときには「ヨン」。

こういう話題は、漢字の音読み・訓読みを勉強するときの教材になりそうだ。他にも、文法に関するものや、音韻に関するものなど、高校の教室でも使えそうなネタがたくさん見つかった。
さあ、そろそろ新学期の授業のことを真剣に考えないと…