忘れてはならない思い

普段だったらさほど気にも留めないであろうこんな一節が、とても心に響いた。

人間というものは、昔つらかったことをすぐ忘れてしまい、丈夫でいることを、神様が当然くださる財産みたいに考えて、元気なときに無駄づかいしてしまうものじゃ。(シュティフタ―/藤村宏訳「みかげ石」)

今、僕の中に、そしておそらく多くの日本人の中にある共通の思いは、やがてもとの平穏な時がやってきても(ぜひそうなることを願っているけれども)、忘れてはならないものなのだと思う。

(043)家 (百年文庫)

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