「百年文庫」の中には牧野信一は入っているだろうか。入っているとしたら、どんな作品だろう。図書館の棚に並んだ「百年文庫」の背表紙を端からチェックする。あった、牧野信一。開いて中を見ると、作品名は「天狗洞食客記」。いかにも妖しい題名。さっそく読んでみた。ぐんぐん引き込まれる。夢とも現ともつかない世界に、陶然と身をまかせる心地よさ。今まで味わったことのないような、不思議な読書体験だ。
こんな奇妙奇天烈な発想はどうして生まれるのか、牧野信一という作家に対する興味は深まるばかり。そして、こういう作品を選んで載せてしまう「百年文庫」、やっぱり侮れない。
- 作者: 吉田健一,小島信夫,牧野信一
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2011/01/13
- メディア: 文庫
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