本に囲まれて飲むビール

 映画舟を編むを観てきた。

 原作を読んで知っていると、原作で作られたイメージとスクリーンの中のイメージの違いに戸惑ったり、映画ではどんなふうに描かれるかと期待していた場面が切り捨てられていて物足りなく感じたりすることがある。でも、今回はそんなことはほとんどなく、素直に映画の世界に浸ることができた。(読んだ本の内容をすぐ忘れてしまうことが幸いしたかも…)

 印象に残った場面の一つは、マジメ君の下宿で、マジメ君、西岡、三好の三人が酒を飲む場面。本に囲まれた狭苦しい部屋は、いかにも居心地が良さそうでビールも美味いにちがいない。西岡が気持ちよく酔った勢いで恋人の三好に結婚を申し込んでしまう場面は、なんだかツーンときたなあ。マジメ君がカグヤさんに「好きです。」という場面より、こっちの方が僕にはインパクトがあったかも。マジメ君を演じる松田龍平の評判がいいみたいだけど、僕は西岡を演じたオダギリジョーもなかなかいい味出していたと思う。

 あ、それから辞書編集部に後から配属されてきた岸辺という若い女子社員の、「なに、この人たち…」という表情は、演技というにはあまりにもリアルで、これも妙に印象に残ってしまった。
なかなかいい映画だと思いましたよ。

言葉は鏡、言葉は雷