- 作者: 長谷川公一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/09/22
- メディア: 新書
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では、日本も政策を転換したとして、現実問題として脱原子力は可能なのか。
『脱原子力社会へ――電力をグリーン化する』(長谷川公一著、岩波新書)によれば、次の方法の組み合わせ(Aのみ、A+B、A+B+Cのいずれか)によって原子力発電所をなくすことができるという。
A、火力発電の設備利用率の引上げ。(二酸化炭素排出を抑えるため、できるだけ天然ガス発電所を活用する。)
B、節電。
C、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーを徐々に導入してゆく。
Bの節電について、長谷川は「小規模の発電を各消費者がやっていることと同じ」ど述べ、さらに次のように続ける。
環境への新たな負荷は全くない。二酸化炭素の排出量も増えない。放射性廃棄物の処理や事故の心配もない。発電所を増やすのは一時しのぎでしかないのに対して、省電力の効果は長期的で持続的である。
Cについては、市民風力発電所を成功させた北海道グリーンファンド運動などの例が紹介されている。
日本は、フクシマ事故を契機として、ドイツのように、未来志向的な「脱原子力大国」への転換を宣言すべきである。日本が旗手となって、エネルギー利用の効率化と再生可能エネルギーの普及にかかわって、二一世紀の技術立国として生き残ればよい。「停電か、原子力か」「温暖化か、原子力か」と国民を脅すのは、きわめて後ろ向きの選択である。
これからの日本が賢明な選択をし、生き延びていくことを信じたい。
節電.GO.JP