せいたかあわだちそう

土曜日の図書館。
外は雷雨。
『鯊日和』(有馬五浪著)という句集を見つけて読んでいたら、全部読み終わる前に閉館時間になってしまったので、借りて帰って家でもう一度じっくり読んでみました。


くしやみして背高泡立草殖やす


くしゃみと背高泡立草が殖えたことと何の因果関係も無いはずなんだけど、妙にリアリティがあります。ちょっとシュールな映像がありありと目に浮かんで面白い。「背高泡立草」という10音分もの長さの言葉をこのようにうまく句の中に収めるのはとても難しいことなのではないでしょうか。


上野駅何処からとなく林檎の香


という句は「上野発の夜行列車降りたときから〜」という演歌を思い出させますが、略歴を見ると著者の生まれは青森県、なるほど。現住所は我が家からも程近い横浜郊外の新興住宅地。蔵書数が少なく個人の句集など数えるほどしかない図書館に置いてあったというのも、地元の方の本だからか… 
次の句からは、父と子(息子?)の物語を想像してしまいました。


手を振つて子は面接へ草青む
青き踏む就職の子の肩叩き
駅までの父と子の黙犬ふぐり



どうやらこの著者、人生の先輩のようで。




(図書館ではもう一冊、『バーベルに月乗せて』(今井聖)という句集も借りたのですが、これについては次回。)


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