ムンク展

最終日前日の土曜日とあっては、大混雑間違いなしとは思いましたが、「よし、行こう!」と思いたったのは、西洋美術館のホームページの解説中の次の部分に興味をひかれたからです。

本展は、ムンクが試みた装飾プロジェクトにそれぞれ1章をあてて構成され、彼の「装飾画家」としての軌跡をたどれるものとなっています。第1章では〈生命のフリーズ〉における装飾性の展開を扱い、それに続く各章では、アクセル・ハイベルク邸やマックス・リンデ邸といった個人住宅の装飾や、ベルリン小劇場、オスロ大学講堂、フレイア・チョコレート工場、オスロ市庁舎の壁画構想といった公的建築でのプロジェクトを紹介します。

ムンクが個人住宅の装飾! 市庁舎の壁画! きっと、画集で知っているムンクとは違うムンクに出会えるにちがいないと期待して、上野に向かいました。
西洋美術館は予想通りの人込みで、入館まで20分待ち。
生で観るムンクの作品は、やはり画集で観る以上に人間の根源的な不安や憂愁を湛えた不思議な魅力を発散させていて、引き込まれてしまいます。しかし、複数の作品が生み出す装飾性を配慮して並べられた作品も、観客が多すぎるために距離をおいて作品群として眺めることができなかったのは残念です。やはり展覧会は、仕事を休んででも空いている時間をねらわないとだめですね。
それにしてもリンデさん、どうしてムンクに子供のいる自宅の装飾画など頼んだんでしょうか。死や男女の性愛を主要なテーマとするムンクの絵は、子供によくない影響を与えるとして、ムンクのもとに返されてしまうのです。その絵が7枚展示してあるのですが、子連れで観に来ていた親が、子供に絵の説明を求められて困っていました。
フレイア・チョコレート工場の壁画はビデオで写し出されていました。ムンクの大作で飾られた壁面にぐるっと囲まれた広々とした社員食堂で、社員達が優雅に心豊かな(想像ですけど)ひと時を過ごしています。こんな会社が作っているフレイア・チョコレートって、どんな味がするのか、是非食べてみたいものです。