田んぼで一句

田んぼに囲まれた学校に転勤して来て、6度目の田植えの季節を迎えました。しばらく鬱陶しい日が続きますが、まだかわいい苗がちょんちょんと並んでいる景色を見るのは好きです。この苗の生長の早いことには毎年驚きます。あっという間に「植田」が「青田」に変わっているという感じです。
今回も『俳句』5月号から、気に入った句を抜き出してみます。「テーマ別 私の一句 三十六人集」という連載のこの月のテーマは「夏の田」。その中から三句…

学校の丸ごと映る植田かな      加藤かな文
万葉の恋説く青田にかこまれて    豊田都峰
ひとクラス分の早苗は届きをり    本井 英

どの句にも僕自身の経験と重なる部分があって、情景がはっきりと思い浮かびます。「こういうふうに作れば良いのか、先を越されたな」っていう感じです。
実は、僕もかつて「教室にとどく植田の水明かり」という句を『俳句』に投句したことがあります。(もちろん、今の職場での実感に基づいた句です。)幸い「合評鼎談」で片山由美子氏に取り上げていただき、「いいところにある学校ですね」というコメントをいただきました。よくよく考えると俳句が褒められたのでも、学校が褒められたのでもなく、学校がある「ところ」を褒めてくださったわけですが、それでもとても嬉しく思いました。そんなことが励みになって、今でも細々と俳句を作っているわけなのです。
さて久々に田んぼで一句、作ってみるかなあ…(実はいつもそう思いつつ、なかなかできないんですけどね。)