倉阪鬼一郎『元気が出る俳句』読了。
サプリメントの効用が信じられないのと同じで、飲んで(読んで)すぐ効く、などと期待して読み始めたわけではない。読み終えた今、やはり効能は実感できないが、面白い俳句・俳人にたっぷり出会えたという満腹感は残った。
ゐのししのこども三匹いつもいつしよ 小澤實
麦秋や今日のしつぽはよいしつぽ 水野真由美
こういう句を読むと、「小さな命に癒され」るというよりも、どうしたらこういう力みのない句が作れるのだろうと思ってしまう。「なんだ、こういうふうに作ればいいのか、自分にもできそうだ」と、希望が湧いてくるのは一瞬で、いざ真似しようとしても、上手くいかないのはいつものことだ。
スキー術変な呼吸がいい呼吸 京極杞陽
この人の世界はあまりにも「変」なので、最初から真似しようなどという大それたことは考えない。それにしても、この句ほど自己肯定感をもたらしてくれる句はないんじゃないか。「それでいいんだよ、べつに間違ってないよ」って、励まされる感じ。あれっ、少し元気が出てきたかな。