強いブラバン? 強い俳人?

こんな言い方をする人、あなたの近くにはいませんか?
「○○高校って、吹奏楽部が強いんだよね。」

嫌だなあ、こういう言い方。「吹奏楽部って、運動部なの? 試合で勝ったり負けたりするの?」って言いたくなっちゃいます。吹奏楽コンクールで上位に入る常連校だと言いたいのはわかるんですが、「強い」って言い方は変じゃないかなあ。吹奏楽部はコンクールで「勝つ」ためにあると思っている人がこういう言い方するんでしょうけれど、結構そういう人って多いみたいですよ。(僕の音楽仲間の中にはいないはずだけど…)
ところで、つい先日立ち食いうどん屋の店先になぜか『銀座百点』という冊子が置いてあったのを見つけていただいてきたのですが、開いてみると冒頭は「百点句会」の記事。

嵐山(光三郎) こんにちは。よろしくお願いします。(席を見て)きょうはもう名人ばっかり、強い人がぶつかりあって。
矢野(誠一) 強い人ってのはいいね、サッカーみたいで(笑い)

ああ、今週の「朝日俳壇」の「うたをよむ」に矢野誠一氏が書いていたのはこのことか、と思いだしました。

八芳園でひらかれた「銀座百点」の仲夏句会で、嵐山光三郎さんが参加者の顔ぶれを見わたして、
「きょうは強いひとばかりだな」
とつぶやいた。
「俳句に強い弱いってあるのかね」
と誰かが応じて笑いを誘ったが、互選で順位を争う形式の句会は、勝負を決する場とも言えるので、俳句に、強い人や弱い人があってもおかしくはない。

確かに、点数をつける以上は誰でも点数を稼ぎたいと思うし、そこに勝負という要素も生まれて来るでしょう。でも点をたくさんとる人を「強い」人と呼ぶのはどうなんでしょうねえ。句会を、勝つことを第一義とするスポーツの試合と同じように表現するのは違和感があるなあ。もっとも、「百点句会」のみなさんは勝負にこだわらずに句会を楽しんでいらっしゃる様子で、我が「釘ん句会」ももっと人数が増えてにぎやかになるといいなあと思ったのでした。