ビルボが手に入れたものとは?

たまにはこういうファンタジーの世界に遊ぶのも悪くない。

僕が読んだのは岩波少年文庫創刊40年記念の特装版(1990年発行)。500㌻を越える分厚い本で、このての本を読みつけない僕は途中で退屈してやめてしまうかとも思ったが、そんなことはなかった。

あらすじを超短くまとめれば、主人公のビルボと呼ばれる小人が、冒険の旅に出て、無事戻ってくる話。どんなに危険な目にあっても、最後に無事に戻れることがわかっているから、どの場面も安心して楽しめる。

自分の家に戻ってきたビルボは近所の人からは良く思われなくなってしまうことが、最初の方で明かされるが、そのあとにこう続く。

それでもそのかわりに、さいごに、すてきなものを手にいれます。それがどんなものかは読んでいけば、わかります。

「すてきなもの」とは何か、その答えは、読者によってちがうのではないだろうか。金銀の財宝? 姿を消すことのできる魔法の指輪? 生き抜くための知恵と勇気? ともに苦労した仲間? 困難を切り抜けた達成感?