高校生に好きな作家、最近読んだ作品を訊ねるとよく出てくるのが伊坂幸太郎。昨年度授業を受け持った生徒の中で特に優秀だったKさんも、好きな作家として伊坂幸太郎の名を挙げていた。
というわけで、生徒との会話の種に一つ読んでみようと選んだのが『チルドレン』。この作品のユニークな点は、5編の短編小説が、互いに関連しあって、全体として一つの世界を構成していること。要するに「連作短編集」なのだが、それぞれの短編のつながり方に工夫が凝らされている。だから、この本は時間を置かずに一気に読んでしまわないと、その工夫が見えてこない。(大丈夫、軽い小説なので、一気に読めてしまう。)
内容的には、どの作品にも登場する、陣内という型破りな人物が印象に残る。陣内のような、マイペースを貫ける厚かましさというのは、僕には全く欠ける要素だと思う。少しは陣内のようになりたい…(この、少々戯画化された陣内のような人物造形が、今時の高校生を面白がらせているのだろうか?)