文学部のスロープ

作者、北村薫は二度目の大学生活を、今度は女学生になり切って楽しんでいる。想像力を逞しくして。
それを読みながら僕は僕で、自分の大学時代にタイムスリップして、懐かしい思い出に浸る。「文学部の長いスロープを校舎の方に上りながら」なんて一節に出会うと、ああ、僕もあの緩い上りのアプローチを通って教室に向かったんだよなあ、と、40年も前のイメージを鮮明に思い浮かべる。

ひとコマ目、つまり第一時間目に授業のある日は、これは辛い。高校の始まりより早くなって、おまけにお隣の県からよいしょよいしょと東京まで出かけて行くのだからまいってしまう。
一年生の途中までは真面目に出ていたのだが、早い日だけではない。なまじお昼から出かけても間に合う日が混じっているので、かえって苦しい。

そうそう、朝イチの授業は確かに辛かった。今だったら早起きなんて、苦にならないのに。もう一度、大学生活を(今度は真面目に!)送ってみたいものだ。