風船とおしゃべり

前回、「二人して交互に一つの風船に息を吹き込むようなおしゃべり(千葉聡)」という短歌を取りあげた。卓抜な比喩を用いた秀句だと思う。なんだか幸せな気分にさせられる。

風船と、おしゃべり…

今日の「朝日俳壇」には、こんな句が載っていた。(高山れおな選の第1席)

 しやべるだけしやべつて妻は風船に  宮野隆一郎

おしゃべりだった妻が遠い世界に旅立ってしまった寂しさを詠んだ句だと解釈してしまった僕には、選者の評「夫婦の行き違い?を描く超短編アニメーションの趣き」がどうしてもピンとこない。