感応は官能

 横尾忠則の『名画感応術』。ゴッホ、マネ、モディリアーニ、などの名画を、横尾忠則流に鑑賞、といっても、期待していたほど刺激的なことは書いてないが、取り上げた名画はどれもみな魅力的。

名画感応術―神の贈り物を歓ぶ (光文社文庫)

名画感応術―神の贈り物を歓ぶ (光文社文庫)

  • 作者:横尾 忠則
  • 発売日: 1997/06/01
  • メディア: 文庫
 

芸術の本源はこの現象界にあるのではなく、もともとは天上界に存在するものである。それが芸術家の直感によって地上に降ろされて初めて芸術作品と呼ばれるのだ。その意味でも芸術家は神の媒介者である。神の意志を伝達する道具でなければならない。

芸術を前にして鑑賞者が快楽的あるいは官能的になることは、感情が魂と共振した証でもある。芸術を知的に認識することだけが芸術ではない。まず芸術は感応するものだとぼくは思う。また感応は官能に通じる。