白楽駅近くの古本屋「Tweed Books」にて300円で購入した、アーサー・ビナード『空からきた魚』(集英社文庫)を読んだ。
アーサー・ビナードのエッセイ集は、以前に『出世ミミズ』と『日々の非常口』を読んでいるが、書かれたのはこちらの方が先らしい。この本も自転車の話だったり、俳句や短歌が織り込まれていたり、なかなか楽しい。俳句についてはこの時点ですでにかなりの精進を積んでいることがわかる。
湯豆腐のだれもいなくなり昆布残る
年の市ティッシュを配るサンタいて
海亀や浜を耕しつつ進む
短歌もたくさん出てくる。たとえば、「さらば新聞少年」の冒頭に掲げられているこんな歌。
新聞の勧誘くれば日本語のニの字も知らぬガイジンとなる
アーサー・ビナードの文章は、中学や高校の国語の教科書には採られていないのだろうか? この「さらば新聞少年」なんか、中高生に読ませるのにいい文章だと思うけど。上の短歌のあと、文章はこのように続く。
この手口はぼくの、いってみれば一種の特権だ。新聞に限らず、その他もろもろの勧誘に対しても効力を発揮する。けれど、新聞勧誘を題材に詠むことにしたのは、その相手がほかよりどこか身近に感じられるからだろう。
このぼくも、実は高校生のころ、オハイオ州で新聞配達をやっていた。…