花をもめでじ

伊勢物語』第八十八段。

むかし、いと若きにはあらぬ、これかれ友だちども集りて、月を見て、それがなかにひとり、
  おほかたは月をもめでじこれぞこの
   つもれば人の老いとなるもの

 この「月」を「花」に置き換えてみると、今の自分の気持ちと重なってきます。

  おほかたは花をもめでじこれぞこの
   つもれば人の老いとなるもの

 (現代語訳)世間では今年もまた、どこそこの桜が咲き始めたとか、満開を迎えたとか騒いでるけど、それにつられてソワソワし始めちゃう自分がなんとかならないもんかと思っちゃうんですよ。若い時は、「今度の土日はせっかく満開になりそうなのに、雨の予報でがっかり」なんてことはなかったのにね。それよりも、咲いては散り、咲いては散りしてるのを惜しんでいるうちに、ほら、自分自身が枯れちゃいそうじゃん。