印象派は面白い

 この春に二つの印象派の展覧会を観て以来、印象派の絵に俄然、興味が湧いてきた。印象派の作品そのものの良さに開眼したというよりも、印象派以前の西洋の絵画が、印象派の画家たちの様々な試みを経て20世紀の絵画の様々な流れにつながっていく、その過程を知ることがとても面白いということに気付いたのだ。
 そこで、こんな本を読んでみた。

 名画鑑賞のためのお手軽な入門書といった体裁の本だが、見た目の割に内容はなかなか充実していて、読んでいるとたまらなく美術館に行きたくなる。著者井出洋一郎とその助手の対話形式で、名画を楽しむための知識と、鑑賞する際の目の付けどころを教えてくれるのだが、教科書的な解説で終わらず、二人がそれぞれの個人的経験や好みなど、主観を交えて語っているところがなかなか楽しい。

 印象派の展覧会というのは、一つは東京都美術館で開かれていた「印象派〜光と色のドラマ」、もう一つは三菱一号館美術館で5月24日まで開かれている「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展〜アメリカ合衆国が誇る印象派コレクションから」。


 僕はワシントン・ナショナル・ギャラリー展で観た、エドゥアール・ヴュイヤールという人の作品に心ひかれた。(残念ながら、上述の本にはヴュイヤールへの言及はない。)どれも小さくてとても地味な作品だが、僕にはその色彩が実に好ましく思われたのだ。

















 さて、次はどの美術館で、誰の絵と会ってこようか…