プロの仕事

 最近読んだ句集より、好きな句を拾い出してみた。
 どちらの句集も、さすがにプロの仕事だなあ、という感想を持った。上手いと評されるような句はもっと他にいくらでもあるのだろうが、僕の中に、技巧の際立つ句を避ける心理が働いたように思う。

鷹羽狩行『十三星より

寒鯉を沈めし水の鏡かな
鶏鳴のあとの遠吠え桃の村
木道に十字路ありて草紅葉
大鯉は影を重ねず菊日和
鈴鳴らすときに揃へり神楽舞
裸祭喧嘩を神に奉る
はじめからいびつ群上の踊の輪

 「神楽舞」の句には「高千穂の夜神楽」という前書きがある。2年前に実際に高千穂の夜神楽を見た映像が蘇ってきた。そうでなかったらこの句が目にとまることはなかったかもしれない。

池田澄子『拝復』より

この辺り山か裾野か春か夏か
よく晴れて冷房電車から広島
遅れ来し人へ拍手を花見茣蓙
着膨れて待てば来ませり着膨れて
翅閉じて蝶であること休んでいる
木漏れ日をくださる初夏の桜の木

 柔軟な発想が生み出す句に魅了された。ちょっと真似したくなる。でも、それは自分を見失うことにしかならないだろう。