スゴくいい本なんだけど…

小林恭二が『この俳句がスゴい!』で取り上げている俳人は、次の10人。
高浜虚子種田山頭火・尾崎放哉・久保田万太郎・西東三鬼・加藤楸邨石田波郷森澄雄金子兜太飯田龍太
小林恭二はこれらの俳人の代表作のどこが優れているのかを丁寧に教えてくれるとともに、それぞれの俳人の異なる魅力を的確に浮かび上がらせている。僕は今まであまり好きでなかった久保田万太郎の良さが少しわかってきた気がするし、飯田龍太金子兜太などは今まで感じていた以上に魅力的な作家だと思えるようになった。以前にもどこかに書いた記憶があるが、何に関してであれ、それまで気づかなかったモノやヒトの良さを教えてくれる本は、いい本だ。モノやヒトの素晴らしさに気づくことは、人の心を幸せにする。
ところでこの本、題名はこれで良かったのだろうか。「このマンガがすごい」とか「このミステリーがすごい」というような本が売れているのに便乗しての命名なのかもしれないが、「すごい」というのは安っぽい言葉だし、この本の内容とつりあっていないような気がする。