山に来ると、この風を炎暑の下界に持ち帰りたいといつも思う。

 涼風に吹かれに、蓼科山に登って来た。
 蓼科山は、深田久弥日本百名山の中の一座に数えられている。僕はこれで百名山のうちのおよそ30座に登ったことになる。「およそ」というのは、乗鞍や蔵王草津白根のように、頂上近くまで車で行ってそのあたりを歩き回っただけの山を数に入れるかどうかで、数が違ってくるからだ。蓼科山を選んだのは、少しでも多く百名山を登ろうなどと考えたからではない。出来るだけ標高の高い山頂で、涼しい風に吹かれたかったのだ。それに出来れば雰囲気のいい山小屋でのんびり過ごしたかった。調べていたら、蓼科山頂には蓼科山頂ヒュッテという山小屋があることを知った。眺めのいい小屋の前のベンチに座って、少し寒いくらいの風に吹かれながらビールを飲んだり本を読んだりして過ごすのは最高に贅沢な夏の過ごし方だ。たまにはそんな贅沢も、許されるでしょ?

 サッポロ黒ラベルに勝るビールはないと思う。いつもは第3のビールなので、これだけでも贅沢。

 日没前の八ヶ岳南部。雲が多くてきれいな夕焼けは見られなかった。丁度このころ、霧ヶ峰あたりは土砂降りだったのだと、翌朝すれ違った登山者に聞いた。

 小屋の夕飯。真空管のアンプとバックロードホーンのスピーカーの組み合わせで聴くモーツァルトが心地よい。宿泊客は、僕一人。ますます贅沢。

 小屋から見る日の出。小屋の御主人に起こされなかったら、寝過ごすところだった。

 朝の八ヶ岳南部。

 南アルプス中央アルプス北アルプスの峰々も良く見えた。



 山頂から南西に伸びる尾根を登山口まで下り、その先は、蓼科湖に降りるか白樺湖に出るか迷ったが、バスの時間までたっぷり間があったので、白樺湖まで、前から歩いてみたかった八子ケ峰をのんびり歩くことができた。ああ、贅沢。


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