東京散策

まだ行ったことのない美術館が都内にいっぱいある。時間を見つけて少しずつ行ってみたいと思っているのだけれど、今日は『BRUTUS CASA』(2010年9月号、最強の美術館はどこだ?)で、読者に人気があるとして取り上げていた品川の原美術館へ行ってみることにした。

建物は品川駅から15分、静かな住宅地の一角にある。来場者のほとんどが若い男女の二人連れのようで、中庭に面したおしゃれなカフェは若いカップルでほぼ満席。どうやらここは人気のデートコースになっているらしい。「アート」の享受のされ方の一端を見た思いがした。
展示作品の中では、佐伯洋江(さえきひろえ)の細密な線描画が僕の好みだった。こんな絵を自分の家に飾れたらいいなと思う。
今日、東京まで足を運んだのにはもう一つの目的があった。まだ行ったことのない「名曲喫茶」とやらでコーヒーを飲みながら音楽を聴くこと。美術館を出ると、山の手線で渋谷に移動、道玄坂の途中で右に折れた所にある「ライオン」という喫茶店に入った。
店内の雰囲気は写真を見て大体わかっていたから驚かなかったけれど、完全に時代に取り残されてしまった異空間という感じ。客は先ほどの原美術館はえらい違いで、風采の上がらない中年男性ばかり。空いている席に座れば僕もその中の一人。うーん、落ち着く。
メンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』、ベートーヴェン交響曲第8番、チャイコフスキーの『1812年序曲』を聴いて、店を出た。