自転車と麺類と日本酒と

昨日の日曜日は以前メンバーだったオーケストラの本番で、僕はエキストラを頼まれて出たんですけど、出番は一曲だけだったので、結構ヒマで。それで、楽屋でモニターから聞こえてくる「禿山の一夜」なんかを聴きながら、こんな本を読んでいました。

吉田自転車 (講談社文庫)

吉田自転車 (講談社文庫)

これ、僕のようなチャリンコ・ライダーにとっては、たまらなく面白い本です。「僕のような」というのは次のようなヒトのことです。

自転車に乗るのが趣味だ。といっても、寝袋つんで日本海を見てくるとか、山を猛スピードで下るとか、公園でタイヤくるくる回したりとかのハードな趣味活動ではまったくなく「ぶらぶらと近所をちょっと……」という程度の趣味である。

これは吉田戦車が自分のことを言っているんですが、僕もまったく同じ。自転車で「近所をちょっと」というのは実に愉快です。こういう自転車の乗り方は、散歩の楽しみと乗り物に乗る楽しみを足したようなもので、歩くよりも行動範囲が広くなるというのが魅力。距離が延びた分だけ、気になるラーメン屋や蕎麦屋と遭遇する確率も高くなるというもんです。『吉田自転車』でも、自転車で出掛けて麺類を食べる、というのが大事なテーマになっていますが、得てしてたいしてウマくもない店に入ってしまいがちなのも、無計画にぶらつくことの多い自転車乗りの宿命なんでしょうか、僕にもそんな失敗が何度かあります。


ところで、ご近所散策ばかりやっていると、たまには折りたたんでちょいと遠出したり、車に積んで標高の高いところに行ったりもしたくなるもんです。吉田戦車も自転車を車に積んで山梨の別荘に行くのですが、別荘の庭がジャングルになっていて、自転車どころじゃなくなってしまい、地酒を飲んで寝てしまう…その地酒というのが僕も山梨の山荘の主人によくご馳走になる「七賢」とくるわけですから、嬉しいじゃないですか。