『建築は詩―建築家・吉村順三のことば一〇〇』という小さな本です。これは2年前「吉村順三建築展」が開催された際に吉村語録集として刊行されたものだそうです。面白そうなところをぱらぱらと立ち読みしていたのですが、家でゆっくり読んでみたくなり、結局買ってしまいました。
家は風景の一部になりますから、環境に責任をもたねばなりません。
環境破壊の点、美的な点でいえば日本はいまどん底だと思います。これからはそれを取り返していかねばなりません。日本の文化の上に立ったデザインでなければなりません。
昔のものには建築に限らず非常に品があった。例えば、法隆寺とか桂離宮のような古いものには品が備わっているでしょう。やはり本当にいいもの、品のあるものは、「必要なものだけ」で構成されていることが多い。
建築ははじめに造形があるのではなく、はじめに人間の生活があり、心の豊かさを作り出すものでなければならない。そのために、設計は、奇をてらわず、単純明快でなければならない。
これらの「ことば」を読んでいると、吉村順三が生涯を通じて追求していたものが見えてきます。
彼が求めたのは日本の伝統的なよさ生かした、簡素で品のある住宅。そしてそれは日本人の心の豊さや美しい町並みの創造につながっていくのだと考えていたようです。こうした考え方は、多くの日本人に共有されるべきものだと僕は考えています。ゆえに、次のような言葉もまた見過ごしてはならないと思うのです。
ぼくはもっと一般の学校教育で、家や住まいといった教科を入れるべきだと思いますね。それが結局、将来の日本人の生活にプラスになるんじゃないでしょうか。