グレン・グールドと俳句

相互リンクさせていただいているブログ「不二草紙 本日のおススメ」の最新の記事に触発されて、本棚の『「草枕」変奏曲――夏目漱石グレン・グールド』(横田庄一郎著)を本棚から取り出して拾い読みしたり、久々にグールドのレコードを聴いたりしていたら、すっかり夜が更けてしまいました。
『「草枕」変奏曲』の発行は98年5月、僕の読書日記を見ると同年8月23日に購入して、29日に読了。こんなコメントを書いていました。


「芸術家としての漱石とグールドの共通点が、グールドが愛読したという『草枕』を手がかりにしだいに明らかにされる。が、これは書名から想像できるように、研究書ではない。「非人情」という主題をめぐって、全三十章のゆるやかな完結性を持った短章が積み重ねられてゆくうちに、グールドの芸術への理解が深められる。強引に自説に引き込もうとする押し付けがましさのない、軽やかな、ちょっと枯れた文章が、読んでいて気持ちよかった。」


今回あらためて目次を見ると、「第二十四 禅と俳句」という章が目につきました。そこにはグールドと俳句の結びつきに関して、次のような記述が見られます。

 草枕』は漱石が「俳句的小説」と呼んでいるほどだから、たくさんの俳句が出てくる。だいたい主人公の画工は画工なのに絵をかくより、俳句三昧なのである。そして小説では俳句ができそうな境地がえがかれ、そこから実際に画工がひねってみせる。そこには俳句の創作過程が明らかになっているのだ。『草枕』を愛読したグールドが画工に共感し、俳句に惹かれるようになったとしても、決しておかしくない話である。
 …
 あれほど饒舌な、批評家には「ピアノを弾くより、無意味なことをしゃべることを好む」といわれたグールドが、言葉を極限にまで絞り込む俳句をつくっていたという話は実に興味深い。ただし、こうした内面に関することをグールドは自ら語っていない。書き残したものもないのである。今後、何か俳句についての資料が出てくれば面白いのだが、いまのところ、そうしたものは見つかってはいないようだ。

さて、その後、グールドと俳句を結びつける資料は見つかったのでしょうか。ご存知の方がいたら、ぜひ教えてください。

「草枕」変奏曲―夏目漱石とグレン・グールド

「草枕」変奏曲―夏目漱石とグレン・グールド