色彩の世界に遊ぶ

11日(土曜日)、東京都庭園美術館で開催中の「宇治山哲平展」を観て来ました。

 つい先日宇治の平等院を見て、極彩色の文様で埋め尽くされた千年前の鳳凰堂に思いを馳せてきたばかりの僕には、カラフルな幾何学模様を曼陀羅のように並べた宇治山哲平の作品が、遠い古代の美術作品と響きあっているように感じられ、一見ポップで時にユーモラスな作品が深い宗教性さえ湛えているように思われてくるのでした。実際、宇治山哲平は仏教美術古代エジプト美術に憧れ、奈良にアトリエを構えてもいます。
 しかし、展示された作品全体を通して見たとき、どうしてもそこに一人の人間像が浮かび上がってしまうことが、彼の作品の近代性を証立てているとも言えそうです。「絵というものは、色と形で自分のすべてを語るものである」という彼の言葉は、彼の作品のすべてをも語っているのです。
 アール・デコ様式の内装の施された建物と作品とが絶妙な調和を見せていたことも、付け加えておきたいと思います。